教職員間のハラスメントをチェックリストで簡単に判別する方法

教職員間で起きるハラスメントは、日常的に見過ごされがちな問題です。しかし、当事者の精神的・身体的な負担は大きく、教育現場全体の雰囲気や子どもたちの学習環境にも影響を与えます。本記事では、ハラスメントの定義や事例、そして簡単に状況を整理できるチェックリストを紹介し、最後に相談窓口の情報をまとめました。自身や周囲の状況を客観的に把握し、早めの対処につなげていただくことを目指しています。

ハラスメントとは?教職員間での具体例

学校は「教育の場」である一方、「職場」でもあります。組織における人間関係や上下関係が複雑に絡み合うため、知らない間にハラスメントが起きている場合があります。ここではまず、ハラスメントの定義と種類を押さえ、教職員間で見られがちな具体例を確認してみましょう。

ハラスメントの定義と種類

ハラスメントとは、職場などの人間関係において、相手に対して不利益や苦痛を与える行為を指します。代表的なものにパワハラ(パワー・ハラスメント)、モラハラ(モラル・ハラスメント)、セクシャル・ハラスメントなどがあります。教職員間のケースでは、管理職から一般教員への一方的な叱責だけでなく、同僚同士の対立がエスカレートして起きる事例も含まれます。

教職員間でよくあるハラスメントの事例

ハラスメントが疑われる教職員間のトラブルには、以下のようなものが挙げられます。

  • 過度な叱責や無視
    大勢の前で繰り返し叱責する、あるいは特定の教員だけを露骨に無視する。
  • 業務の偏りや不平等な扱い
    特定の人にばかり負荷の高い業務を押し付ける、重要な情報を共有しない。
  • 人格否定や脅迫的な言動
    「あなたは教師に向いていない」「異動させるぞ」など、相手を脅すような言葉。

いずれも教職員相談などで頻繁に報告される事例です。一時的なトラブルで収まらず、日常的に続く場合は深刻化する前に対応が必要です。

ハラスメントのチェックリスト

学校現場では「仕事上の指導」と「ハラスメント」の境界があいまいになることがあります。そこで、冷静に状況を振り返るための手段として有効なのがチェックリストです。

チェックリストの目的と使い方

チェックリストを使うことで、自分自身が置かれている状況や相手の言動を整理しやすくなります。さらに、複数の項目が該当すればハラスメントの可能性が高まるため、第三者への相談や記録の準備を進める判断材料になります。

  • 感情的になる前に客観視する
    冷静に質問に答えることで、実際の状態を把握できる。
  • 相談時の資料として活用
    事例を数字やチェック項目で示すと、相談先も状況を把握しやすい。

チェックリスト項目

下記の項目に複数当てはまるようであれば、ハラスメントの可能性が高いと考えられます。メモやデジタルツールを使い、具体的な場面や日時を記録しておきましょう。

  1. 上司や同僚から、高圧的な口調や人格否定にあたる言葉を繰り返し浴びせられている。
  2. 同じミスでも、自分だけ過度に叱責されることが多い。
  3. 学校運営に必要な重要情報や資料が共有されない、または極端に遅れる。
  4. 特定のメンバーだけで会議や打ち合わせが行われ、自分は意図的に排除されている。
  5. 一部の教員に業務負担が集中し、不満を訴えても改善されない。
  6. 言動を細かくチェックされ、監視されているようなプレッシャーを感じる。
  7. 相手からの評価や異動をちらつかせた脅迫的な発言がある。
  8. **体調不良(不眠、胃痛、頭痛など)**が続いている、あるいはストレスで通院を検討している。
  9. 信頼できる同僚や友人に話したところ、「それはハラスメントじゃない?」と指摘された。
  10. 学校生活に対するやる気や自信が著しく低下している。

ハラスメントの対処法と相談先

ハラスメントを受けていると感じたら、早めの対処が肝心です。放置すると心身への影響が大きくなり、最悪の場合、休職や退職に追い込まれることもあります。ここでは、すぐに実践できる初期対応のポイントと、頼りになる相談窓口についてまとめました。

初期対応のポイント

  1. 記録を取る
    ハラスメントと思われる発言や行動、日時、場所を記録しておくことで、後から正確に状況を伝えられます。
  2. 一人で抱え込まない
    同僚や家族、友人など信頼できる人に相談し、客観的な意見をもらうことで事態を整理しやすくなります。
  3. 専門家に相談する
    ハラスメントに詳しい弁護士や産業カウンセラー、スクールカウンセラーに早い段階で相談すると、問題解決の糸口が見つかりやすくなります。

相談窓口の一覧

  • 教育委員会の専門窓口
    多くの自治体には、教職員向けの相談が可能な専門部署があります。所在地や連絡先は自治体ホームページなどで確認できます。
  • 労働局や労働相談センター
    パワハラなど労働関係のトラブルを幅広く扱っており、法的なアドバイスを得られる場合があります。
  • 専門機関・メンタルヘルス支援
    ストレスによる不調が顕著な場合は、カウンセリングや医療機関での治療も検討しましょう。学校現場でも心療内科や産業医と連携していることがあります。

FAQ

ここでは、よくある質問についてお答えします。

Q. ハラスメントかどうか迷った場合の判断基準は?
A. 「自分自身が苦痛を感じ、かつ相手が優位性を利用して継続的に行っているか」が大きなポイントです。不快な言動や扱いが長期化し、指導の域を超えていると感じたらハラスメントの可能性があります。

Q. 相談先に持参すべき資料は?
A. 発言や行為が行われた日時、具体的な内容などをまとめたメモ、録音データ、メールのやり取りなどが有力な資料になります。客観的な証拠があるほど、相談がスムーズに進みます。

Q. ハラスメント加害者が上司の場合の対応は?
A. 職場内での解決が難しいと感じたら、教職員相談を受け付けている教育委員会や、外部の労働相談窓口を利用してみてください。上司よりも上位の組織が介入することで、問題解決の糸口が見つかる場合があります。

まとめ

ハラスメントは、教育現場で働く教職員の心身を傷つけ、職場全体の士気や教育の質に悪影響を及ぼします。しかし、問題に気付いても、「ただの意見の違いかも」と自己判断してしまい、対処が遅れることが多いのも事実です。本記事で紹介したチェックリストを活用しつつ、いち早く行動を起こすことが大切です。必要に応じて相談窓口に頼り、周囲のサポートを得ながら解決を目指しましょう。